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2022年07⽉15⽇
犬の重度歯周病の治療

今回は、犬の重度歯周病の治療について説明していきます。

まず犬の歯周病治療の目的は、症状がある場合(口が痛そう、歯ぐきから出血、腫れているなど)には、症状を軽減させることです。症状がない場合は、歯周病に関連した症状の発症リスクを低下させることにあります。

 

犬の場合、歯周病が重度であっても症状を示さない子は意外に多く存在します。もちろん、口を触らせない(痛みがあるから)、口臭がある場合がほとんどですが、本人が困っていないケースは多いです。

しかし、その状態を放置すると、歯槽膿漏や口鼻漏、下顎骨折など外科的な処置が必要になることがあります。つまり、歯周病を早期に発見して、治療を行うことで将来的に歯周病に関連した手術の回避、コストの軽減が期待できるのです。

 

そのため、まだ症状がない、それほど歯周病が進行していないうちに歯のクリーニング等を実施することをおすすめしています。

 

今回は重度歯周病のケースをご紹介します。

このワンちゃんは症状はありませんでしたが、将来的なリスクを懸念されて歯周病治療を希望されました。重度の歯周病であり、歯磨きも性格的に困難であることから、積極的な治療が求められました。そのため、ほぼすべての歯の抜歯を実施しました。

 

歯肉が歯石でおおわれてしまっています。

 

抜歯を行い、歯肉を縫合したあと。

 

このレベルの抜歯を行うと術後2,3日はぐったりすることが多いです。そのため、術前に主要な臓器の機能に異常がないかスクリーニング検査を実施します。異常がある場合には、前日入院して点滴を流したり、術後入院して麻酔の影響による全身状態の悪化を回避しています。

 

抜歯を行う際のインフォームとして、以下の注意点があります。

 

・抜歯の際に顎骨折をするリスクがある

・抜歯後に外貌が若干変化する可能性がある

・抜歯後に下が出たままになる

・抜歯後に縫合した部分が離開してしまう

 

また、年齢を理由に麻酔をためらってしまう方もいますが、臓器の機能に問題がなければ20歳でも麻酔はかけられます。迷っている方がいましたら、一度ご相談くださいね!

 

また重度歯周病の費用ですが、

術前検査及び歯科治療(スケーリング、抜歯+歯肉フラップ)で60,000~80,000円ほどです。

※上記費用はあくまで目安であり、実際の診療費を保証するものではありません。

 

 

 

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